牛や豚などが吐き出すゲップに含まれる二酸化炭素やメタンガスの総量は、世界の温室効果ガスの14%を占めるという論文があります、これは全世界のクルマが出す排気ガスと同じ量だそうです。それほど地球温暖化に影響を与えているのです。そのためこれ以上、家畜を増やしせば温室効果ガスの排出が即されるだけでなく、大量の化学物質が必要となったり、牧草地をつくるために森林を破壊しなければならかったりと地球にあまり良い影響は与えないとされています。そのため、植物由来の「肉」を食品として流通させることで食卓に「新時代」をもたらそうという動きがあるのです。
デザイン冷蔵庫から植物性食品へ
このプラントベースフードを手掛けるエシカルフード株式会社の代表取締役、山本晃生様が今日のお客さまです。
山本様は学生時代から、VESTAに通われていて、お客さま歴はなんと15年以上! 学生の頃から通われているなんてすごいお洒落な大学生だったんですね、と尋ねると、「いえいえ、実は。。。」とお話ししてくださいました。
じつは山本様のお仕事はプラントベースフードの製造販売だけではありません。下掲の写真の背景にある「LIEBHERR(リープヘル)」という名称をご存知でしょうか。
リープヘルはドイツの建設機械メーカーなのですが、会社の一部門にピルトイン式の冷蔵庫の製造販売を手掛ける部署があります。この冷蔵庫、ビルトイン方式だけに、室内のインテリアとマッチしてモダンな住空間を演出できるため、インテリアにこだわる方々に大人気。家電量販店などでは目にする機会は少ないのですが、デザイン住宅や高級マンションなどで採用されています。
この冷蔵庫の輸入販売を主に手掛けているのが、プラントベースフードとは別に、山本様が代表を務めるもうひとつの会社、インタックSPS株式会社です。
じつは山本様がVESTAに通われる様になったのは、このインタックSPSの前社長のご紹介だったのです。
前社長から学んだ服装哲学
前社長は大変お洒落で粋な方だったとのことで、社長自ら、以前からVESTAに通われているお客さまでした。山本様は、社長の右腕でもあった経理担当者の甥っ子で、学生の頃から前社長には、息子のように可愛がってもらっていたのだそうです。
「前社長からは本当にいろいろなことを教えていただきました。学生では入れないようなレストランに連れて行ってもらったり、服もいいものを着るようにと、VESTAをご紹介いただいたのです」
大学卒業後はリクルート系の企業に就職されますが、数年後にはインタックに入社、これから社長に恩返しをしようと意気込んだその年の冬に前社長が急逝されました。そこで山本様は社員数人のこの会社を背負うことを決意され、今日まで奮闘されてきたのです。
前社長の遺志を継がれた山本様は、服も前社長が愛したVESTAを引き継がれ、シーズンごと新着を仕立てていらっしゃいます。
上質なカシミヤの見極めは「鱗」
この日はカシミヤのジャケットにカシミヤのセーターという出で立ち。素材の美しさは、下の写真でおわかりいただけると思いますが、カシミヤのうろこ状の光沢が独特ですよね。あえてタイドアップしないジャケット&クルーネックニットというラフなスタイルも、上質なジャケットでしっかり高級感溢れるものに仕上がっていました。
カシミヤはイタリアのチェザーレ・ガッティ。北イタリアビエラの生地メーカーで、レディスの生地で有名だと思います。レディス生地を紳士服に仕立てるとは、なかなかにエレガントな仕上がりですよね。
セーターは銀座界隈の百貨店でまとめ買いされるとのことで、ご本人もブランドは覚えていらっしゃらないとこと。拝見したところ、ごめんなさい、私も知らないブランドでしたが三越で購入されたとのこと。三越伊勢丹グループのバイヤー陣は、私もよく存じ上げていますが、マニアックなほど服に詳しく、しかも一般的なメディアに登場しない高級ブランドもよくご存知なチームです。今度、バイヤーさんに聞いてみようと思います。
ちょっと写真が白く飛んでしまいましたが、カシミヤ生地の厚みがよくおわかりいただけるかと。ここまで肉厚なカシミヤはなかなかお目に書かれませんね。VESTAの品揃えの良さをよく表しています。しかも袖口は本切羽。ボタンを2つ外して着るあたり、ちょっとした「ハズシ」のポイントになっていました。
こだわりのポイントはジャケット裏に花文字のイニシャルと通算仕立て数を刺繍しているところ。このジャケットは36着目ということがわかります。
クロゼットの中はVESTAの仕立て服と、ときどきイタリアもののブランドを買われるとのこと。
「オーダーするのはVESTAだけ。イタリアブランドとVESTAの組み合わせは違和感なくコーディネートできるんです」
そうでしょうね。この日、同行いただいたマネージャーの北川さんはイタリア留学のご経験もあってイタリア語も堪能。イタリアのファッション事情にもお詳しいので、そういう機微がわかってるのでしょう。私も随分、勉強させていただいていますから。
パンツはイタリアの名門ブランド
合わせたパンツはイタリアのコルネリアーニのもの。最初、パンツもVESTAのオーダーですか? と尋ねてしまったほど、見事にジャケットとマッチしています。こういうところですよね。VESTAとイタリアのマッチングというのは。
シューズは英+伊=スペインブランド
足元はバーウィックのタッセルローファー。バーウィックは英国とイタリアのいいところを集めるといわれるスペイン靴。良質な革の産地であるスペインで、グッドイヤーウェルト製法の靴を作るメーカーです。普段はクロケット&ジョーンズやジョンロブなどもお穿気になるそうですが、こういう気兼ねのない靴が今日みたいなジャケットスタイルには似合いますね。
ノータイでもシルクチーフをパフ差しで
さりげなく腕元に超高級時計
でもって、仕上げにオーデマピゲのロイヤルオーク。これ、所有されていることがもうすでに神がかっているのは明らか。なにしろ在庫があっても、一見さんには売ってくれないのですから(除く中古)。ロイヤルオークのお店に通って、何本か購入記録をつくってはじめて「お客さまにロイヤルオークのご準備が叶いました」となるのですから。
でも「時計見せていただけますか?」と尋ねるまで、けっして山本様は、話を時計に振ることありませんでした。あくまでもさりげなく、けれどもしっかりと良いものを見に付けていらっしゃるのが山本様の着こなしの哲学。このあたりは、見習いたいところでもあります。
取材にお伺いしたのが1月の終わり頃で、まだまだ寒さ厳しい折でした。温かさを優先しながら、高級素材でシンプルな装いをされていた山本様ですが、春夏。もう少し服装が軽くなった頃は、どんなお洋服を着られているのか興味がわきます。ぜひ、もう一度、取材させてください。この場を借りてお願いいたします。